甲北病院【神戸市北区】
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胃内バルーンについて

胃内バルーン留置術について
「胃内バルーン留置術」はシリコンでできたバルーンを内視鏡を使って胃の中に入れ、生理食塩水を注入して膨らませ、そのまま胃の中に置いておく(最長で6ヶ月間まで)手技です。膨らんだバルーンは胃を膨らませて空腹感を減らせ、また胃の容積を小さくして食事摂取量を減らせ、体重を減少させる効果があります。膨らんだバルーンは球形に膨張し、胃内で自由に動き回れるように設計されています。

胃内バルーンは肥満患者のための厳密な医学的管理下における一時的な減量治療法であり、長期間の減量を保障するものではありません。また、挿入期間は最長6ヶ月で、それ以上留置した場合、バルーンが胃液などで劣化して腸閉塞や潰瘍などの合併症の危険性が高くなることが報告されています。

胃内バルーン留置の適応条件
内科的治療に抵抗性の肥満で、BMIが35以上の患者さまには最適の治療法です。
BMIが27~34の患者に対する減量治療としては海外では一番良い選択であると認識されています。特に高血圧症、高脂血症、糖尿病、腰痛症、膝関節症などが、肥満の治療により改善されると考えられる方にとっては最良の選択と言えます。
65歳未満の方。
本手技施行前に上部消化管内視鏡検査を行い、異常所見が無いことが確認された方。
インフォームドコンセントにより、本手技の説明を受け、十分に理解し、実施に同意を得られた方。
その他、当院担当医がこの治療を受ける必要がある、または、受けても良い、と判断した方。
胃内バルーンの手術を受けることができない方
年齢が65歳以上
BMIが25以下
医師の指示に従えない方、定期的な医学的経過観察の指示に従えない方
胃切除後の方
重度の心肺機能の低下がある方
出血傾向のある方
胃潰瘍など、食道、胃、十二指腸に重篤な疾患があり、治療中の方
妊娠または授乳中の方
アルコールまたは薬物依存症の方
重症の精神科疾患がある方
その他、当院担当医師が、適応外と判断した方
手技の実際
口腔内に麻酔をして、点滴の眠剤で寝ている間にバルーンを口から入れます。

手技にかかる時間は20~30分程度です。

  • 胃酸の影響による劣化などによるバルーンの破裂などの危険性があるため、バルーンは最長でも6ヶ月までしか留置できません。通常、4ヶ月から6ヶ月の間に除去します。
  • 海外の施設では外来処置として行われており、バルーン留置後しばらく患者さんの状態を見て問題がなければ帰宅するのが普通ですが当院では2泊3日の入院をしていただきます。
予測される効果
海外のデータでは、平均して標準体重を上回る部分の体重の30%~45%の減量が可能です。
例えば、今体重が90キロの人の標準体重が60キロであれば、10キロから15キロくらいの減量が予測できます。(本人の努力によってはそれ以上の減量も可能です)。だいたい平均して15キロ~20キロの減量に成功しているようです。食事の量や食べ方などに注意していただく必要はありますが、それほど積極的な減量の努力をする必要なく減量ができます。
胃内バルーン留置術以外の減量治療との比較

(すべて日本では保険適応外)

ダイエット法や薬剤の使用があります。

それ以外の方法としては、
胃のバイパス手術や縮小手術(実際に胃を切ったり、胃と腸をつないだりする。近年では海外でもあまり行なわれなくなってきたと思われる。KONISHIKIさんが受けた手術)
胃のバンディング手術(胃にバンドを巻きつけて容積を縮小させるもの。)
胃内バルーン
があります(勿論すべて日本では保険適応外)。前者2つはどちらも全身麻酔下に手術を行う必要があり、麻酔の危険性や術後腹膜炎、感染症の危険性、また、腹腔鏡手術で傷は小さいとはいえ、体に傷が残る、というリスクがあります。

それに対し、胃内バルーンは、局所麻酔(口腔内)と点滴で眠剤を使うのみで、しかも内視鏡で行うので傷は一切残りませんし、麻酔による危険性も最小限です。特に当院では通常の大腸内視鏡検査時にも同じ種類の点滴の眠剤を使用しているため、使い慣れており、また、対応にも慣れているため、非常に安全に行えます。胃内バルーンは一番体に対する負担が少なく、かつ安全な減量法といえます。

合併症(副作用)について (重要)
海外のデータでは、胃内バルーン留置の成功率は99.9%以上、留置後の減量の成功率も99%近くで、問題となるような重篤な合併症はほとんど起こりません。2500例を超える症例の検討から、全体としては約2.8%の合併症が報告されています。具体的には、
胃穿孔(孔があいて腹膜炎になる) 0.19%
バルーンの破裂 0.36%
食道炎 1.27%
胃の閉塞(通過障害) 0.76%
胃潰瘍 0.2%
死亡例 0.08%(2人)

です。

以上より、基本的には非常に安全な手技と国際的に認識されています。

頻度の高い合併症として、バルーン挿入後の胃部不快感、食欲不振、悪心、吐き気などがあります。これらはバルーン留置後数日間、ほぼ必ず起こると考えてもらってよいと思いますが、治療の問題となることは少なく、個人差がありますが通常は数日~1週間程度で治まります。どうしても症状が改善されない場合、バルーンを除去する必要があります。

その他、
  • 全く減量の効果がない可能性もあります(1%以下の確率)。
  • バルーン内の液体に感染し、重篤な感染症を起こす可能性があります(非常にまれ)。
  • 通常の内視鏡検査に伴う合併症。具体的には局所麻酔へのアレルギー反応、治療後ののどの痛みや違和感、内視鏡検査に伴う食道や胃などへの損傷など。これらも非常にまれです。

当院での経験上、バルーンは非常に頑丈、強固にできており、通常、破損するような事態は考えにくいです。

また、仮に魚骨などで孔が開いたとしても、バルーンは、簡単に内部の水が漏れない作りになっているので、すぐにバルーンが縮んで問題が起きる、ということはまずありえません。
治療スケジュール
 
長期成績

胃を切ったりしているわけではないので、バルーン抜去後、身体的には体重が落ちた以外は全く治療前の状態と同じです。よって、バルーン抜去後に食事量が増えると、リバウンドが起こる可能性が十分にあるので、注意が必要です。

海外の治療を受けた100人の患者を対象とした治療試験では、治療終了時の平均体重減少は12キロで、1年後の平均体重減少は8.6キロでした。

また、別の140人の患者を対象とした試験では、3年に及ぶ経過観察で、40%の患者さまで、初回治療時減量体重の50%以上を減量できたままでした。つまり治療3年経過後、過半数以上の患者さまで減量した体重は徐々に増加していることになります。

これらの経過から言えることは、本人の努力次第で減量した体重をある程度維持していくことは可能ですが、リバウンドで体重が戻る可能性も十分にあるということです。胃内バルーンによる治療では、治療終了後の体重のリバウンドに対して保障するものではありません。

もしも体重が戻った場合、バルーンを再挿入して、再減量を行なうことは当然可能です。
その場合、改めて同様の治療を行なうこととなります。

支払いについて
本治療法は保険診療の適応外のため、自費診療となります。支払いの方法は一括払いか、3回に分けての支払いになります。
当院での長期フォローアップの方針
バルーン抜去後も数年間は半年に1回程度外来を受診していただき、減量後の経過を診させていただきます。高血圧症、高脂血症などの病気で当院通院中の方については、通常の外来受診時に合わせて経過を診させていただきます。

一度胃内バルーンを用いた治療を行った後は、すぐに体重がリバウンドで戻っても、安全のため半年間はバルーンの再挿入はできません。 

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